力士イズム

最近、夜布団に入ると、昔のことばかり思い出してしまう。その大半はいわゆる黒歴史で、「ああ、あんなことやるんじゃなかった」とか、「少し成長した今のわたしがあの場にいたら……」とか、そういう意味のない妄想を何度も繰り返している。その一方で、将来のことは一年ぐらい先のことをぼんやりとしか考えておらず、「これからどうするつもりなの?」などと聞かれても返答に困ってしまう。でも不思議なもので、「まあ、なんとかなるっしょ!!!!」と大声で叫び、アフリカの少数民族のような踊りを軽くすれば、周りはそれ以上言及してこないものだ。これはわたしが身につけた数少ない処世術の一つで、かなり効果があるのでぜひ一度試してみてほしい。マサイだ。マサイになりきるのだ。マサイ族に踊りがあるのかは知らないけど、多分あるんじゃないかな?と思う。

 

マサイについてブログは書けないので(有名な超人並の視力についてしか知識がない)、話を戻します。

とにかく、わたしは自分の悪質さに結構敏感だって話。その中でもとびきりなのが、最初に書いた「根暗な自省厨」な面と、あと「忙しい忙しいお化け」な面だ。ぶっちゃけ、自分を自分で忙殺しているのである。わたしは昔から予定をギッチギチに詰める方で、それなのに「忙しい忙しい」と嘆きまくる、はっきり言ってメチャクチャたちの悪い人間だ。忙しい自分に、悦、入りまくりなのだ。5連休とか週末は最高なんだけど、夏休みとかなんやら休みとか、あの「長い暇」に耐えられなかった。本当にわたし、小学生時代の夏休みとかはどうしてたんだろう?学校ではまあそれなりに友達がいるけれど、実際に休日に遊びに行くような友達はまったくいないという人種だったため、両親に「大丈夫?」と言われた記憶はある。今考えると泣ける話である。

 

たぶんなんだけれど、わたしは「自省厨」だから「忙しいお化け」なのだ。まず、このブログを書くことも自分を振り返る作業でしかない。でも同時に、「自分の内面を見つめている自分」を他人に見てもらいたがっている。「自分を追い込むストイックな自分」も。言葉は汚いけど、公開オ……やめます。

 

で、そんな自分を、もっと言やあ他人も、バッサリ切り捨てるのが本当に高尚なことなのか?ってな話です。そういう「俗っぽいキショさ」を意識して殺していけば、本当にキレイな人間になれるのか?大勢の前で粗相をしたり、恥をかいた自分や他人は、四捨五入すると本当に自分と無関係のキモ俗物になるのか?

 

少し前はわたしもバシバシ切り捨てていた。これは無理だの、あれは無理だの、自慢をする人は嫌いだの、目を見開いて写真に写るのは逆にブサイクになるからやめろだの、イヤミな姑のごとき厳粛さでもって、自分に他人に、節制を求めていた。

でもそんなアレコレは、よくよく見ていたら「別にいいじゃん」と思うようなことばかりだったのだ。別にいいじゃん、自慢しても。自分なりに頑張ったんだし。はっきり言ってわたしすごいし。目なんかどんどん見開きゃいいじゃん。やっぱ目だよね、肝はさ。やっぱ大きい方がいいよね。大は小を兼ねるって聞くし。エビちゃんとかもさ、そういう風に写ってる方がかわいいしね。OKOK、全然OKだよ。

今まで敏感に目くじらをたてていた「悪事」は、適当にうなずいてしまえばもう悪事ではなくなってしまう。人を殺した、みたいな、絶対的に悪いことではないんだから。結局は無理に肩肘張って、どうでもいいことまで糾弾して、自分も他人も縛るだけになる。キレイな人間とは程遠い、ただの偏屈ババアだ。

 

この間、服を全部洗濯してしまっていたときに、運悪くどうしてもコンビニに用事があったので、思い切ってジャージで行った。ダルダルのヴィンテージモノだ。最寄りのコンビニまでの数分間、かなりの人とすれ違った。でも、別にいいじゃん、ダルダルのジャージでも。わざわざ自分を見下ろして、わざわざダルダルジャージを確認して、すれ違っている人の顔をチラチラ見て、自分から進んで「恥ずかしいーーッッ!!!」と叫ぶ不幸顔よりも、前を向いて堂々とコンビニに向かう横顔の方がカッコイイものじゃないか。

 

その晩には、力士がいっぱい出るテレビ番組をやっていて、そのふくよかな外見とは裏腹の身体能力を視聴者に見せつけていた。まげ姿でバク転を決めるシーンがあって、思わず見惚れてしまったほどだ。もはや誰が力士にデブなどと言えるんだろうか?その肉体はしなやかな筋肉でできているのだ。多くを食べ、それらをしっかりと自分の血肉にしているのだ。生きとし生けるものとして、最高の生き方ではなかろうか。

 

こうなったら、わたしも精神的力士になってやります。なんでも一回受け入れてみます。そりゃ日曜の晩とかには「死ね」とか言うかもしれないけれど、金曜だからハイになってこんなブログを書いているのかもしれないけれど、まずは3日くらいやってみます。それで飽きたらまたこのブログに悪口を書きます。で?っていう話なんですけど、自分のためのブログなんでご容赦ください。困ったらマサイ、そして力士。達観なんか全然していないけど、毎日ニヤニヤするくらいの余裕はできました。